鶴
なにかの合図でもあるような
純白のハンカチ打ち振るような
清冽な羽ばたき
羽ばたいて
羽ばたいて
(「鶴」茨木のり子 『落ちこぼれ』等所収)
NHKの「世界の屋根・ネパール」に寄せた作品であるそうだ。
夢枕獏の刷り込みのためか、チベットの話だと思っていた。
日食の観測をしていて、
望遠鏡を空に向けているのに、
ありえない高空を、なにものかがよぎるのをみてかなりあせったことがある。
「なんか飛んでる!」
「鳥だ!これ、渡り鳥だよ!」
渡り鳥がかなり高いところを飛ぶというのは、話としては知っていても、
具体的に、望遠鏡を向けてそれを見ると、ほんとうにとんでもなく高いところなのだと実感する。
空の星をみるもので、生き物をとらえることがあろうとは。
飛行機が飛ぶような高さを行かなければ、国境は越えられないものなのか。