チベットのお守り
石は数種のめのうとソーダ石。
経文は不明。
古銭は清朝のもの。
古銭が縁起物だというのは、大学の中国語の授業でやった。
文革ごろの中国で。
老夫婦と息子夫婦が一緒に暮らしていた。
息子は、文革で濡れ衣を着せられて投獄され、
何年もかかってようやく釈放され、
故郷に帰ってきたのは、ちょうどお正月だった。
その地域では、お正月に「大銭餃子」(ダーチェンジャオズ)を食べる習慣があった。
餃子の中に、ひとつだけ、縁起物の古銭を入れておく。
それがあたったひとはその年一年を幸せに過ごせるという。
息子の母親は、息子に大銭餃子を食べさせたくて、そっとその餃子に目印をつけておいた。
が、大銭餃子は外からみてわかるので、
息子、息子の嫁、母親の3人が、お互いに他のひとに食べさせたくて、
あちらへやり、
こちらへ入れして、
母親が餃子を食べると、
大銭餃子にあたった。
「あれっ、どうして?!」
と、驚いていると、
孫たちが「おばあちゃん、おめでとう!」と、祝ってくれる。
母親は、笑いながら泣いていた。
息子も泣いていた。