鳳凰の名前
2008年6月11日に書いたmixi日記をコピってきた。
書いておいてよかった、かなり忘れてたんだ。
今年の衣装のインナー(衣装脱ぎ後の赤い衣装)の柄は鳳凰。
去年は鯉。
去年、衣装に加工をするために、いったん配られた全員のインナーを回収することになったとき、
事務局のK氏が
「鯉に名前をつけてください」
(=衣装に自分の名前を書いて提出してほしいの意)
といったことから、
鯉「に」名前をつけるのが流行り。
うちのは「鯉吉」とつけた。(や、ちゃんと自分の名前書いて提出したけど)
あと「鯉太郎」ってひともいたな。
今年の鳳凰になんて名前つけようかと思ったときに、
自然とうかんだのは「あかね」。
本祭1週間前。
練習に、不思議なお客さんがいらした。
見覚えがまったくない若い女性。
乳幼児連れ。
しかもお子さん、練習の音で泣いてしまった。あああああ、すんません。
チームのOGかなあ、と、思っていたら、その回の通し稽古が終わってから、紹介があった。
以前、そのひとの講演を聞いて感動したメンバーが、ぜひチームのために話をいただきたいということで来ていただいたということだった。
「このひと、すごいひとなんです」
どうすごいんだろう。
そのひとは、手紙を開いて読み始めた。
それは、そのひとがいままさに胸に抱いているお子さんとご自分との話だった。
妊娠がわかってから、極めて症例の少ない腫瘍がみつかったこと。
それでも、どうしてもこの子を生みたい、自分が生きるためにこの子を殺せない、と、堕胎を断って、子供が生まれてすぐに手術することにしたこと。
去年の暮れに肺に転移がみつかったこと。
とってもわかりやすくいうと末期がんで、もう余命が残り少ないこと。
もうすぐ死ぬことがわかっているけれど、でも、いのちを輝かせて生きていく。
皆さんも、命を輝かせてほしい、と。
すこし涙ぐみながらも、そのひとはしっかりと、手紙を読み終えた。
どうしたらいいかわからなかった。
目の前にいるこのひとは、もうすぐ死んでしまうのだと。
とりあえず本祭までは大丈夫かもしれない。
けど、今シーズンの終わりにはもういないかもしれない。
そのひとの名前は「あかね」。
鳳凰に名前をつけようと思ったとき、まっさきに浮かんだのはその名前だった。
鳳凰は、フェニックスとも同一視される霊獣。
どうか、一日でも長く、こちら側にいられるようにとの願いをこめて。
あと半年、「あかね」と一緒に踊り続ける。